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新興国インドネシアの現状と課題 前編

 

 今回の話題は、タイトルにもある通り「新興国インドネシアの現状と課題」です。そのまんま、読んで字のごとくです。

 私たちはこれまで、インドネシアの良かった点を紹介してきたつもりです。ですので意向を変え今回は、その正反対の内容、インドネシアの課題について掘り下げていきます。すべて、私たちが現地に赴くことで気づいた内容です。

 また、今回私たちは新しい試みに挑戦します。せっかく複数人のライターがいるので、討論型の記事を書いてみました。

(正直、まとめるのがめちゃくちゃ大変でした。)

 そして、この記事は新しい試みであると同時に、ひとつの区切りにしようとも考えています。この先の展開は乞うご期待、ということで、早速本題に入っていきましょう。 

 

 

世界最悪の渋滞!

 

ヒロ「そんなわけで、今回はインドネシアの課題についてディスカッションしていくよ。

 課題と言われて一番に思いつくのは、やっぱり交通面かな。渋滞、ほんとにひどかったからね」

 

カイト「うん、最近地下鉄が開業したけど、とは言っても公共交通機関はまだまだ未発達。バイクや自家用車を使わざるを得ない。移動時間がかかりすぎて生産性が低下してるんじゃないかな?」

 

ヒロ「世界最悪の渋滞がもたらす経済的損失は、かなり有名な話だね。損失額は年間100兆ルピアと言われている。1円=120ルピアとして、日本円にして約8300億円にのぼる莫大な額だね。

 最近、首都をジャワ島の外に移す計画が決定されたみたいだよ。候補としては、ジャカルタから見て北東にあるカリマンタン島中部の都市などが挙がっているらしい。

 首都移転の理由は実は渋滞による経済的損失の解消だけでなくて、過剰な地下水利用による地盤沈下から、異常気象時の洪水のリスクが高まっているからという理由もあるらしいんだ」

 

カイト「話を戻そう。渋滞の原因だけど、スプロール現象も一因じゃないかな。ジャカルタでは無計画に都市開発が進められているせいか、道路の広さや道路の環境が全く異なっていた。広い道路と狭く、整備されていない道路が混在しているとどうしても狭い道路で車が詰まって渋滞を助長しているように見えたよ」

 スプロール現象スプロール現象とは、都心部から郊外へ無秩序、無計画に開発が拡散していくこと。計画的な街路が形成されず、道路、上下水道、学校や病院等のインフラの整備も立ち遅れる。

 

タクヤ「渋滞もひどかったけど、交通マナーもひどかったと思う。さすがに原付のノーヘルはアウトらしいけど、人数制限はないんだって。もしこのまま公共交通機関が発達して道路の交通量が減ったら、スピードも出しやすくなるだろうし、同時進行で解決していかなければならない問題なんじゃないかな。

 交通量が減ったら、今は圧倒的に利用者が多いサービスであるGrabとかGojekみたいなバイクタクシーの雇用も減るからそのあたりの対策もこれから考えていかないといけないと思う」

 

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ジュン「現地人にとっても不便だろうけど、あそこまでひどい渋滞に慣れていない外国人観光客にとってはなおさらだよね。僕なんかトイレ漏れそうになったし。でも、交通渋滞が解消されてしまうと、渋滞で止まっている車に押しかけて、水や食べ物を売っていた人の仕事が無くなっちゃうんじゃない?」

 

ヒロ「現在ニーズのある職がなくなってしまう可能性があるのか。交通量が多くて、しかも信号がない交差点で交通整理をしてチップをもらっていた人もいたね。渋滞の緩和によって経済的な損失がすべて解決される、と言うわけではなさそうだね。

 ところで、押し売りや交通整理でお金を稼いでいた彼らは、ほんとうにあれが本業なのかな?」

 

ジュン「どうなんだろう?

 交通渋滞もだけど、道路の危険性も気になった。インドネシアでは歩行者優先じゃなかったし、横の車同士の間隔もかなり狭かったよね。滞在中に交通事故が起きなかったのが不思議なくらい。日本人が運転したら絶対事故を起こすなって思った。これから海外の人がインドネシアに行く機会も増えるかもしれないから、道路を広くしたりして欲しいね」

 

 乱雑な都市開発

 

タカシ「渋滞も気になったけど、ビルや橋が果たして大地震などの災害に耐えられるのか、見ていて不安になったよね。インドネシアも日本と同じで災害大国でしょ。もし大地震に耐えきれなくてジャカルタの機能が停止したら、インドネシア全体が被害を受けるだろうし。インドネシアが世界で人口が4位ってことを考えると被害はインドネシアだけじゃ収まらないかもね」

 

タクヤ「やっぱり安全対策は日本の方が徹底しているよね。インドネシアでは、高速道路の高架の支柱が驚くくらい細くて、すごいびっくりした」

 

カイト「スラム街の建物は、耐震構造が考えられていないように見えた。もし地震が起きたら大打撃を受けるんじゃないかな?」

 

ヒロ「スラムは地震だけじゃなくて、台風でも甚大な被害を受けそう。家と家の距離が近いから、乾季は火災の延焼も心配。スラム街だけでなく、単なる住宅街でも家と家の距離の近さは気になった」

 

タカシ「そういった意味でも、開発が乱雑だったね。バスから外を見ていて、ビル群が切れたなぁと思ったら一面にスラム街が広がっていたり。なんというか、ごちゃごちゃしていたね」

 

タクヤ「乱雑さといえば、ビル群とスラム街もそうだけど、古いものと新しいものが混在している様子がたくさんあったなあ。例えば、郊外の電線なんかは、断線した送電線を取り除かずに新しい線を張って、切れたものは新しいものに巻きつけられていたよね。重さで電線がすごく弛んでいた。電柱も傾いていたし、電柱はそんな新しく張った電線の重みに耐えられるのか疑問だよね。

 やっぱり新興国インドネシアでは子供が多いから、断線した電線を放っておくのは危険だと思うな。

 あとは、ショッピングモールでは、エスカレータやエレベータが壊れたまま放置されているのがすごい気になった。ものを壊れたままにしておくのは見栄えも悪いし、なんとかならないのかな」

 

経済成長と環境保全の両立ってできないの?

 

ヒロ「現状では直さないところがたくさん、そして作らなくてはいけないものもたくさんといった感じだね。また新たな開発が必要だ。

 でも、環境破壊を考慮していないような開発が気になった。

 さんざん環境を破壊し尽くした日本人に言えることじゃないけど……。

 自分たちを反面教師に、自然環境と経済成長を両立した開発をしてほしいけど、難しいのかなあ。

 すでにジャカルタでは、道路敷設に際して多様で豊かな街路樹を大量に伐採してしまったらしい。市民からは当然、反対があったみたいなんだけど……」

 

タカシ「インドネシアはまだ発展している最中だから、まだ方針を考える余裕があると思う。せっかく先進国という良い手本、悪い手本があるんだから、環境問題や、貧富の格差・都市部と地方の格差といった発展による弊害を考えて欲しいな。急激な経済成長は素晴らしいことなんだけど、どこかで冷静になって振り返るってのも必要じゃないかな」

 

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ジャカルタ

 

ヒロ「ビル群とスラム街、壊れたままの古いものと急速につくられる新しい施設、下手したら東京よりも大きいかもしれないジャカルタと田舎。格差は大きかったね。ちぐはぐだ。

 地方政府によっては、景観を守るために過度な開発をしないようにしているところもあるみたい。でも、結局、地方の人は稼ぎを求めて都市部に出てきちゃうわけでしょ? 景観を守ることがそんなに大切なのかなあ」

 

タカシ「観光資源じゃない?」

 

ヒロ「誤解のないように言っておくと、これは『視点を変えればこういう見方もできる』ってことの一例であって、別に俺が本心で思っていることではないんだけど。

 でも、そこに住む人全員が観光業で儲けているわけじゃないことは事実でしょ? 

 これは日本でも言えることだけど、開発を進める人たちは、そこに住む人の顔が見えていない。果たして本当に住民を幸せにする開発なのかな? 当然、全員を不幸にする開発でもないのだろうけど。人の手が入りすぎていない地方の自然に誇りを持っている人だって多いだろうし。ほら、田舎出身の人がやけに地元に誇りを持っていることって、大学入るとよく聞く話じゃん。

 本当の意味で『よい開発』ってどんなものをさすんだろうって思うよ。あっちを立てればこっちが立たないって事態は往々にして起こりうるわけだ。

 視点を変えて考えると、なにが正しいのか、よくわからなくなってくる」

 

 

 次回は、格差問題や衛生環境について議論していきます。

 

 乞うご期待。

 

 それでは。

 

 

 

 

おまけ 人物紹介

 

ヒロ:チームの頼れるリーダー。議論などでは発言、進行ともに秀逸である。とは言っても普段はおちゃらけていて人を笑わせることしか考えていない。小学校で人を笑わせることの味をしめてから、中学校、高校生とお笑い王の称号をほしいままにしてきた。しかし大学入学一発目の自己紹介で不幸にもクソ寒いギャグを披露してしまい人生初の滑りを経験する。始めの一ヶ月は人権がなかった。しかし、授業や議論などにおいては真面目な姿勢を見せられるため、次第に人権を取り戻した。ちなみに、似ている芸能人は登○○臣(自称)。

 

タクヤ:チームのムードメーカー。大好きな食べ物は「ラーメン二郎」。週3で通っている。口癖は「二郎に住みたい」。その食の嗜好に違わず、ポッチャリ成人病まっしぐら体型。しかし、こいつ、ただのデブではない。クラスに一人は必ずいると言われている「動けるデブ」なのだ。しかも、動けるだけでなく気配りまでできる最高のデブだ。どこに行ってもタクヤを中心として大きなグループができる。小学生時代、休み時間のサッカーのポジションは、もちろんいつでも「キーパー」。

 

カイト:チームの頭脳。一人っ子で病弱なため小さいころから両親に大事に育てられてきた。そのため内向的な性格で教室の隅で読書をしているようなおとなしいやつだった。高校生の頃にタクヤに出会い初めて友達と言える友達が出来る。頭の弱いタクヤに勉強を教えその度に二郎(あまり好きじゃない)に連れてってもらった(しかも自腹で)。奇跡的に二人は同じ大学に進み、自分を変えようとタクヤと共にこの研修に参加することを決める。ちなみにチームメンバー的には「カイトはそんなに内向的じゃない」そうだ。

 

ジュン:チーム一のイケメン。その美貌はもはや松○。口数が多いが、二枚目なのになぜか硬派でみんなからの好感度が高い。芯の通ったやつで、何事にも自分に嘘はつかず必ず責任を持ってやり遂げるストイックで熱いやつ。そのため、その性格と容姿から男女共から好かれる正真正銘のイケメン。心も顔もイケメンすぎていつも後光が差しているように見える。神は、彼に二物を与えてしまったのだ。

 

タカシ:タカシという名前なのに身長が低しであることにコンプレックスを感じている。チームの中では頭一つ抜けて背が低い。しかし、そのコンプレックスをバネに体を鍛え上げ、ラクロス部のエースとして活躍している。最近彼女が出来たらしく、部活とバイトでただでさえ忙しいのに恋愛が加わり、過労死するのではないかと心配されている。好きな食べ物はうどんとシーザーサラダ。すき家のシーザーサラダ牛丼を考案した人は今年のノーベル平和賞を受賞するはずだと信じてやまない。