世界の大学受験は厳しい?
みなさんこんにちは。先日大学寮に住む中国人の友人と話していたところ、中国の高校生は部活動をしないという話題になりました。その理由を聞いたところ、中国の大学入試は厳しく、さらに学力至上主義なのだとか。日本もかなり受験は厳しく一発勝負の傾向にありますが、中国の方が圧倒的に厳しく聞こえました。また、他にも日本と違う点が多くありました。
そこで今回は世界の大学受験制度について日本と比較しながら私の意見を綴っていこうと思います。
中国の大学受験
まず私の友人に聞いた話を記します。
高校の時から寮で暮らし、学校では朝7時くらいから夕方6時くらいまで授業。それに加えて夜の時間は自習時間として学校に残って勉強、家に帰ってからも深夜まで勉強、といったように基本的に一日中勉強していたそう。そのため部活動などはできるわけもなく、一日の睡眠時間は四時間ほどだったのだとか。
それでは、なぜ中国の人はここまで大変な試験を受けるのか。その理由は高校教育入学考試、通称”高考”と呼ばれる一発勝負の試験があるからだそう。日本のセンター試験のように大学にかかわらず同じ試験を受けるのです。
中国では日本以上に「いい大学に行くと幸せになれる」という考え方が根付いているそうで、将来への不安はもちろん、親族など周りからのプレッシャーもすごかったそうです。
彼は今大学院生で脳波の研究をしているのですが、日々論文の執筆に励んでいます。論文を多く書き、勉強の成果を出すことが中国でも重要なのだそうです。もうすぐ日本での留学は終わってしまいますが、よく時間が足りないと話しています。私から見るといつも勉強をしているように感じられるのですが、それ以上に勉強できるのは中国での厳しい勉強の経験があるからなのかもしれません。このようなハングリーな姿勢は私たちも見習わなければなりませんね。
しかし、このように人生のうちの一つの試験だけでその後の人生が決まってしまうのはいかがなものでしょう。それによる精神病やカンニングなどの事件も多発しているようですし、何より、思春期の多感な時期に勉強以外のことができないことは好ましくないのではないかと思います。
ただ、優秀な人材を中国の大人数の中から見つけ出すのには有用なのかもしれません。国力をあげるためには技術力を、技術力を高めるためには頭脳が必要ですから。
私個人としては、中国が頭脳面で有能な人材が増えるように、メディアをはじめとして「いい大学に行くと幸せになれる」という潮流を作り、競争を促しているのではないかと感じました。この考え方は間違いではないかもしれませんが、
ペーパーテストが出来る = 有能な人材
というのは間違いだと思います。だから、勉強以外にも必要な力があることが中国の人々にも広まり、大学受験がゴールとならないような教育になると良いと感じます。
先進国の受験制度
それでは先進国の受験制度はどのようになっているのでしょうか。例えばアメリカは入学基準は統一されておらず、SAT(Scholastic Assessment Test)やACT(American College Testing Program)と言った年に複数回受験できる制度もあるようです。それから、高校の成績やエッセイ、インタビューが入学試験となることもあるのだとか。
ドイツでは”アビトゥーア”と呼ばれる大学入学のための国家資格を持っていると、原則として希望する大学、専攻に入学することができます。ただ、誰もが取れるわけではなく、小学校に当たる基礎学校で4年間過ごし、”アビトゥーア”を取ることを前提とした”ギムナジウム”に八年間通う必要があるのだとか。アビトゥーアの点数の2/3はギムナジウムの成績で、最後の試験が点数の1/3を占めます。最終試験の機会は年2回ほどあり、記述問題形式の筆記試験と口述試験があるそうです。
フランスにもバカロレアという大学入試のための国家試験があり、アビトゥーアと同じようなシステムです。こちらの点数は試験で決まりますが、予備試験と本試験があり、二階の総合点で判断されます。また、一定の点数以上取って不合格になった場合には後述の際試験があるそうです。
このように見てみると、先進国では大学入試のための試験に複数回挑戦可能であり、筆記以外の試験も重視されていると考えられます。また、高校の成績や高校時代の試験も使用されることがあるようです。
日本と比べてみて
今回は中国と先進国の受験制度を調べてみました。みなさんはどのように感じたでしょうか。私は、日本の受験制度はまだ進んでいないのだなと感じました。程度に差はあれ、日本でも受験は一発勝負の傾向にありますし、勉強ができていい大学に行くことが重要だという風潮は未だにあります。
しかし、グローバル化した社会では勉強だけではなく、異文化の適応力や会話力などが必要とされます。以前のように勉強ができればいいというわけではなくなりました。
ただ、ようやく日本の大学受験にもやっと変革期が訪れそうです。来年から一部の国公立大学で外部の英語試験の点数を参考にする取り組みが始まったり、再来年にはセンター試験がより話す、聴く力を重視するものに変化したりするようです。正直その変化が日本にあっているかは分かりませんし、どれほどの効果があるかも分かりません。しかし、
大学受験がゴールではありません。
このことは大学に入ってひしひしと感じます。ペーパーテストの能力だけでは通用しないことも、大学二年生の時点で強く感じます。だから、今すぐでなくても、勉強だけではなく、その人の会話力などを考慮した教育、受験制度となり、世界で戦える人材の多い国になってほしいと願います。