じぇねろぐ。〜for new generation〜

世界のこと、留学のこと、ありのままに

ベトナムコメのブランド戦略

みなさんこんにちは。私は現在ベトナムでこの記事を書いています。

今回ベトナムに来ている目的の一つとしてベトナムの経済について学んでいるのですが、1つの課題としてベトナム食品のブランド力の無さが挙げられました。

ここでいうブランドとはGUCCILOUIS VUITTONと言ったファッションブランドのことではなく、日本でいうコシヒカリや松坂牛と言った食べ物のブランドです。

このブランドがあることによって、少し値段が高くても”このブランドだから購入する”という消費行動が生まれます。

 

ベトナムブランドの現状

 

ここで1つベトナムの現状の例を挙げましょう。

日本ではベトナムコーヒーはインスタントコーヒー用になっています。

つまり、日本では安価な商品向けのものとして利用されているのです。また、インスタントコーヒーだから買うのであって、”ベトナムコーヒーだから買う”のでは無いのです。

ここに存在する問題点は、利益率の悪さです。利益率が悪いと、単位量あたりの利益が減少します。

今、ベトナムを含めた多くの新興国ではこの利益率の悪さを、安い人件費による大量生産で補っています。しかし、ベトナムが成長し人件費が上昇すれば大量生産だけでは国際競争には勝てなくなるでしょう。

コメも同様に、ベトナム国内でさえも、多くはブランドに関係なく全て”メイドインベトナム”として捉えられます。(ベトナムのコメにももちろん品種はあるのですが、日本のように高級なお米があるわけではありません。輸出する際も”安価であること”を生かして東南アジア圏にコメを輸出しているのが現状です。)

 

日本のコメのブランド

 

この様な現状を見て、コメを例に挙げて、日本がコシヒカリあきたこまちのようなブランドを作ることに成功した、という経験を伝えることができるのではないかと考えました。

日本のコメのブランドは、地道な品種改良と正しい農法、そして品評会による高い評価によって与えられます。

この品評会は一般財団法人の日本穀物検定協会によって行われ、コメの食味ランキングを発表しています。そして、最高ランクの特Aを獲得したものがブランド米としてのステータスとなります。よって厳しい審査を乗り越えており、質が保証されているからこそ消費者も高い金額を払うのです

コシヒカリあきたこまちと聞けば、たいてい日本人は「高くて美味しいお米」と思い浮かびます。その認識があることによって、少し高くても消費者は購入し、利益を大きく生むことが出来ます。

 

ブランド戦略への提言

 

一方、コメにブランドが無く、美味しいコメも美味しく無いコメも同じ”コメ”として売られていたらどうなるでしょうか。

競争が起こらないため農家の意欲は増加せず、品質は向上しない。そのために需要が減少し、価格も減少していく。それを大量生産でなんとかする。

私は経済を専門にしているわけではないため1つの予想に過ぎませんが、このような事は現に起こっていると考えられます。

 

ただし日本と同じことをするのでは成功しないでしょう。というのは、日本とベトナムでは食生活が異なるからです。同じ米が主食の国とはいえ、ベトナムで食べる米はフォーなどの米粉麺だったり、ライスペーパーだったりします。

だから、日本のようにコメそのものの味を評価してブランド化するよりも、いかに加工したときに美味しくなるか、といった別の評価基準でブランド化することがより適していると思います。

 

おわりに

 

「日本の農業は弱い」とよく言われますが、このコシヒカリあきたこまち、その他色々、コメのブランドが存在している事は日本の大きな農業の強みであると思います。

 

新興国ベトナム、いま行うべき事は設備や農法の教育かもしれません。しかし、それによる大量生産だけではいずれ大きな利益を生む事は困難になります。だからこそ日本が行ってきたように、しかしベトナムならではのブランド力の向上が農業における成長の1つのテーマになるのではないでしょうか。