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新興国インドネシアの現状と課題 後編

 このブログは前後編に分かれています。今回は後編です。前編を読んでいない人はまず前編をチェック!

 前編ではインドネシアの開発についての課題に触れましたが、今回のブログでは衛生環境の課題や貧富の差などの課題について触れていきたいと思います。

 

 

 

インドネシアの衛生環境

 

ヒロ「インドネシアの開発の課題について話してきたけど、ほかにインドネシアに行って気になった点はある?」

 

タカシ「衛生環境が大きな問題だと思う。トイレとか水周りの汚さは結構気になったし」

 

タクヤ「どのトイレに行っても基本的に一つは壊れているものがあった。張り紙は無いからトイレを使ってしまうけど、流すことができず放置すると細菌が増殖して病気や匂いの温床になってしまう気がした」

 

カイト「ホームステイ先のトイレの床はビチャビチャで、しかもスリッパもなかったんだよね。そのことも細菌の増殖を助長している一因じゃないかな。濡れた足を洗うこともないし、もし感染症にかかったらすぐ家族に移ってしまう。

 さらにトイレットペーパーはなかったから備え付けてあるバケツの水でお尻を洗う必要があった」

 

タクヤ「トイレットペーパーが流せないのも一つの問題だよね。細菌や匂いの温床になってしまう。実際日本にきた外国人観光客がトイレットペーパーをゴミ箱に捨てていて、大腸菌が繁殖する問題もあるらしいし」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc144210.html

 

ジュン「トイレと同じ部屋に風呂場があるのも気になった。風呂場とはいってもバケツに溜めてある水を桶ですくって浴びるような感じだったけど。床が濡れてしまうのは衛生的に良く無いよね」

 

タカシ「うーん、でも求める基準の違いもあるから、日本のお風呂と比べたときに、一概にどっちが正しいとは言いきれないと思う。これからインドネシアにはもっとたくさんの旅行客がくるだろうし公共施設や観光地のトイレだけでも綺麗にして、病気や匂いを予防したりする方が好ましいんじゃないかな。」

 

カイト「水まわりの設備は気になったけど、街にある水もかなり汚かった。川や側溝の水は白く濁っていたし。下水道が整備されていない地域もあるから生活排水とかを垂れ流しにせざるを得ないのだと思う。ゴミがたくさん浮いていたのも印象に残っているよ」

 

ゴミ問題

 

カイト「川だけでなく道路や観光地でもポイ捨てが目立っていた。ゴミの分別もほとんどできていなかったね。環境問題に対する意識の教育が不十分なんじゃないかな。正しい知識を身につけることで環境問題に対する意識も高まるだろうし」

 

ヒロ「問題は教育だけではなくて、ゴミ処理の仕組みにもあると思う。新興国発展途上国ではいわゆる「ゴミ山」が広がっていることは有名だけど、その理由がインドネシアに行ってわかったんだ。そもそも焼却施設がないことを知ったときは驚いたよ。ゴミを燃やす施設がないからそのまま集積するしかない。だからゴミ山ができる。

 何も問題は焼却施設だけではない。主に東南アジアから放出されているマイクロプラスチックによる生物資源の汚染も重大な問題だ。インドネシアにはプラスチックをリサイクルする施設はあるんだ。これはネットで知った情報だけど、せっかくリサイクル施設はあるのに、お金になるリサイクルしかしないらしい。たとえばコカ・コーラのペットボトルとか。

 

 ゴミ山で暮らす人々は空き缶や一部のプラスチックゴミなどのお金になるゴミを集めて売って生活している。彼らが集めたゴミくらいしかリサイクルされないのが現状なんだ。

 でも、ゴミ山に分別されずに廃棄されるゴミはそこで生活する人にとって「宝の山」なのかもしれないし。ただ焼却施設を建てさえすれば丸く収まるという問題ではないみたい。貧富の格差が大きいことを示す社会問題だよね」

 

タカシ「貧富の差は確かに気になったね。住居や教育の面はもちろん、街中で小さい子が働いているのもたくさん目に付いた。

 

ジュン「お父さんが民族的な被り物して練り歩き、子どもがそれを見た人からお金を取ろうとしていたり、ジャカルタ中心部から少し離れた所では、若い子どもが交通整備してチップを貰っていたりしているところを見たよ」

 

タカシ「子どもが働かなくてはならないのは家庭にお金がないからなのだろうけど、働いているから学校に行くことができなくて、また同じようにその子が家庭を持ったときに貧しくなってしまう……といった負の連鎖になってしまうと感じた」

 

タクヤスマートフォンの普及率からも貧富の差を感じたよ。小さい子どもさえもスマホを持っていたね。想像だけど、所得の低いインドネシアの人々にとっては、買うならパソコンよりもスマホといった状況なんじゃないかな。現にインターネットに関しては、スマホで十分だろうし、PC本体はかなり高いだろうし。

 でも実は、スマホの普及率が高いことにはもうひとつ、設備面の理由があると思う。新興国であるインドネシアでは、固定回線を引くための環境整備が遅れている。PCを使える環境が整っていないから、スマホが爆発的に普及しているのではないかな。地下に光ファイバーなどを通すインターネットインフラの整備には莫大な資金と時間がかかるし、地上に電波塔を建てるくらいで使えるスマホが普及したことにも頷けるね」

 

ヒロ「実際日本でも似たようなことがあるけど開発の恩恵を受けられるのは声の大きい上層部だけだよね。

 民主主義っていいものとして捉えられがちだけど、社会的な地位によって相対的に声の大きさに差が出てしまう問題がある。貧富の差が生じる要因って政治にもあるんじゃないかな」

 

タカシ「どの面においてもほんの一部分だけが綺麗に整備されている現状では、海外からきた人に良い印象を与えられない。でも、こう考えてしまうのは『先進国側の押し付け』とも取れるからなんとも言えないのが正直なところだね。

 ただきちんと整備された状態を保つことのメリットが大きいことも確か。先に解決しなければならない問題が山積みなのだとしたら、ものを大切に使って、壊れないように維持する意識が大切なんじゃないかな」

 

最後に

 

 インドネシアという国が抱える課題について、あれこれ議論してきました。

 

 しかし結局、上記のような貧相な理想を掲げたところで、所詮私たちの言葉は非実用的な妄想でしかないのです。

 あれもこれも、究極的にはそこで生きる人たちの問題です。私たちがどれだけ理論を学び、学術的に正確な考察を広げたとしても、私たちの意見はどこまで行っても他所者の意見にしかなりえない。学術的に正しくても、彼らにとっての正解ではない。すべて、いま、そこで生きている彼らが解決していかなければならないことです。

 だとしたら、今の私たちにできることは、ただ祈るほかにないのでしょうか。

 

 それは違う、と私は声を大にして主張します。

 

 国際的な諸問題について考えることは、相手を理解し思いやることと同義なのではないか。

 だとすれば、私たちの考えが直接実を結ぶことはなくとも、私たちが考えるという行為そのものが新たな繋がりを築き、ゆくゆくは草の根から世界を動かすような原動力たりうるのではないかと私は思います。