じぇねろぐ。〜for new generation〜

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ネガティブ日本人

 初めに、みなさんに一つ質問をします。

 

「日本人の良いところってなんでしょう。」

 

 答えられた人、素晴らしいと思います。これからも日本人であることに誇りを持ってください。逆に、何も思い浮かばなかった人も多いのではないでしょうか。

 

 みなさんこんにちは。私は今、留学生と一緒に授業を受けているのですが、その授業で行ったディスカッションのテーマが

「日本人学生から見た日本人学生と留学生の印象、留学生から見た日本人学生と留学生の印象」でした。

 それぞれに対して多くの意見が出たのですが、日本人が日本人について言うとき、ほとんどがネガティブな意見だったのです。

 そこで今回は、授業内での興味深い議論の内容をまとめて紹介します。

 

 

 

日本人の集団意識

 

 最も多く挙がったのは、日本人は物事をはっきり言わない、という意見。日本人学生、留学生ともに同じ認識でした。確かに今までの経験を考えてみると、日本の授業でも意見はあまり出ませんし、空気を読むことが重視される国です。1聞いて10理解しろと言われます。

 いわゆる”High context culture”ですね。日本では他の国に比べて、コミュニケーションの際に言葉よりも背景や雰囲気を大事にする傾向があります。みなさんも物事をはっきり言えない、もしくは相手が言ってくれない経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

 

 そこで私たちはなぜ日本人は物事をはっきり言わないのかを考えたのですが、大きな理由として日本の集団意識の強さが考えられます。日本では集団からはみ出さないことを重視されます。出る杭は打たれるということわざが生まれるくらいに。人と違ったことを述べ、悪目立ちすることを避けるために物事をはっきり言わないと感がられます。

 そして、この目立ちたくないと言う国民性がネガティブな思考を生み出しているのではないでしょうか。自虐すればたとえ自分が失敗しても目立たず、自分を守ることができますから。

 悪いように書きましたが、留学生から周りと同調して行動することが悪いというわけではない、と言われました。協調性は生活に必要な力です。しかし、周りに合わせて自分の意見を我慢してしまうというのが問題だと言われました。

 私個人としては、全員が周りを見ずに自分の意見を言うだけでは集団は成り立たないと感じます。もちろん協調性は必要です。しかし協調性を考えるあまり、口を閉じてしまっていては何の解決にもなりません。だから、人の意見に耳を傾けつつも意見を考えついた時は遠慮なく言う、この方法がいいと思います。たとえその意見が間違っていたとしても、一つの意見から良いアイデアが思い浮かぶこともあるため、協調性を持つことと自分の意見を飲み込むことを混同してはならないと考えます。

 だから、月並みな言い方になりますが、集団の中では相手を尊重しつつ自分の考えは飲み込まない。これが大切なのではないでしょうか。

 

 また、日本人は周りの目を気にしすぎという意見もありました。例えば大学の講義室で、日本では一番前の席に座るのが恥ずかしいと私たちが意見を言った際、かなり驚いており、前から席が埋まる国もあると聞きました。

 この考え方も、ものをはっきり言わない理由と同じように、目立ちたくない、という考えの人が多いからという結論になりました。

 

 

排他的と思われている

 

 さらに、日本人は排他的であると言われました。それは日本が多民族国家でないことに起因するのではないでしょうか。

 私がインドネシアの観光地に訪れた際、現地の見知らぬ子供たちが写真を撮ってと寄ってきました。日本で、日本の子が海外の観光客に声をかけるという状況が想像できるでしょうか?

 少なくとも自分は想像できませんでした。むしろ外国は怖いというイメージを植え付けられていた人もいるのではないでしょうか。

 そのように自分と価値観が違う人を拒絶すれば、多文化社会で生きてきた人々にとって排他的と思われるのは仕方ありません。

 

日本人に対するいいイメージ

 

 その一方、日本人は見知らぬ人にも優しいという意見もありました。ある留学生が日本に来たばかりで郵便局の場所が分からず困っている時、一人の日本人が言語が通じないながらわざわざ郵便局まで一緒に来てくれたそうです。

 そのほかにも、日本人は誰にでも丁寧に挨拶してくれる、という意見も頂きました。

 

 これらの良いイメージも人による、といってしまえばそれまでです。しかし、日本人の性格にいいイメージを持ってくれている。この事実は単純に嬉しく、これからも誇りに思うべきだと感じました。

 

終わりに

 

 今回は大学の講義で話題に上がった日本人の特徴を挙げましたが、日本人の悪い特徴を単純に直せばいいのでしょうか。

 私はそうすべきではない、と考えます。実際日本人に対するネガティブなイメージがあるのは事実です。ただ、仕事や議論の時に切り替えできればいいと思うのです。確かに日本人の物事をはっきり言わないことや謙虚すぎる特徴は社会においてはマイナスに働くこともあるでしょう。

 

 一方、日本の考え方から生まれるいい行動があるのも事実です。

 だから、理想論でありますし、ずるい言い方にはなりますが、築いてきた文化による性格を真っ向から否定するのではなく、状況による考え方、行動の「切り替え」が重要だと思うのです。