黄色信号はダッシュのサイン?
いま、あなたは徒歩でデートに向かっています。気になる女の子との待ち合わせの15分前。待ち合わせ場所まであと5分はかかる。けっこうギリギリです。もしかしたら女の子を待たせてしまっているかもしれない。そんなとき、歩行者信号が点滅。横断歩道に足を踏み入れる刹那、赤に変わります。しかし、シルバーカーを押したおばあちゃんがまだ横断歩道の真ん中あたりを歩いています。あなたならどうしますか?
止まりますか? ダッシュで渡りますか?
あえて「立ち止まる」こと
私は最近あえて「立ち止まる」ことを意識しています。待つことを意識的に行っています。
たとえば、地下鉄の長いエスカレーターをドタドタと駆け下りていく人、よくいます。しかも、その人が通ったとき、エスカレーターがめちゃめちゃ揺れるんですよ。せめてもうすこし静かに降りてくれと思います。
ドアが閉まる直前で満員の地下鉄に飛び込む人もよくいます。歩行者信号が赤に変わっても車道の信号は赤になっていなければ、颯爽と横断歩道を駆け抜ける人もいます。すぐ近くに横断歩道があるのに(しかもちゃんと信号もついている!)、車通りの多い道に飛び出し、無理に渡ってしまう人もよく見ます。
かなり偏見めいたことを言うと、そうやっていつも急いでいる人はたいていそろいもそろってシワの伸びていない服に身を包み、斜め下を向いていたり顔をしかめていたり、複雑そうな表情で歩いています。お世辞にも、あまり幸せそうに見えません。
たしかにわたしたちはいつも何かに追われています。課題を提出しなければならないしテスト勉強もあるし、バイトにも行かなければいけないし、その中で、自分の勉強もしたいし友人と遊びたいし流行りの音楽だってチェックしたいしYouTubeも見たいしネットでくだらない情報だって仕入れたいし、もちろん、ゆっくり休まなければいけない。
大人の世界は知らないけれど、今の忙しさなどとうてい足元にも及ばず、ずっと多忙を極めるのだろうなあ、とぼんやり想像していたりします。
イライラしても一日、ワクワクしても一日
しかし、世間知らずな貧しい経験則でも言えることがあります。
それは、1つ前の信号で渡れようが渡れまいが、エスカレーターで歩こうが止まろうが、そんな小手先で必死に稼いだ数十秒で成せることなんてない、ということです。
信号なんて変わるまで2分もない。エスカレーターだって、そんなに時間はかからない。
そんなところでイライラしてしまうことこそ、損じゃないですか?
イライラしていると疲れます。仕事の効率だって落ちます。それなら潔く諦めて待てばいいと思います。イライラしても一日、ワクワクしても一日。それならばわたしはワクワクしていたい。
そして、ちょっとした待ち時間はしっかりと「待つ」のです。待つことに集中するのです。
そして、待っている間に頭を休めます。とても短い小休止をもらえた気になります。あるいは自分の頭の中を整理します。いま何をやらなければいけないのか。そしてその優先順位。帰ってからやることを具体化して整理します。さらに、やる気を出すために簡単ですぐ終わるものを最初にやろう、という風に作業のとっかかりの段取りまで決めてしまいます。
こうすることで「なんとなくやりたくない」タスクに対して前向きになります。家に帰ったらすぐにでも作業を始める気分になります。集中するまでにかかる時間がグッと短くなります。
早く集中できることはたいてい、時間に限りのある現代人にとってとても大きな武器になります。帰宅後ダラダラとスマホを見てしまう1時間をフルに集中できれば大きなアドバンテージです。1時間だけでも毎日なにか特定のことに集中し積み上げたら、若い人ならきっと驚くほど上達できます。
効率を求めるあまり、時間に追われてイライラしていませんか?
イライラの原因を取り払ってみましょう。
たとえば、遅刻ギリギリの時間にいつも家を出てしまうなら、あと5分だけ家を早く出ればいい。方法は簡単。いつもより早く起きればいいんです。
(そして、実はもっと簡単なイライラしない方法がありまして。というのも「間に合うことを潔く諦める」ことです。しばしばこれによって解決することもあります。たとえば人と待ち合わせているわけでもない個人的な用事に向かっているときとか)
寝る時間が短いなら増やせばいい。方法は簡単。早く寝るだけです。
なんとなくユーチューブを見ている毎日の2時間、本当に必要ですか? 試しに、「ユーチューブを見る日」を決めてみましょう。週2回くらいを目安に。
なんとなくツイッターやインスタを見ている時間、必要ですか? 夜が明ければ友達に会えますよ。
だいじな連絡がくるかもしれない? 朝早く起きて確認すれば何の問題もありませんよ。
どれもこれも、方法は簡単。なにかを捨てて、空いた時間をスライドさせ得ればいいのです。子供向けのパズルみたいで簡単でしょう?
そんな風に、目先の数十秒の使い方を変え、人生を豊かにしてみませんか。